明日まで
病み気味文ちゃん


忍になると決めた時から覚悟はしていた。命を頂戴する場面が必ずあるということを。しかし実際にその場面に直面すると震えが止まらなかった。人を殺めるということへの恐怖で躊躇してしまい、一撃で仕留められず苦しい思いをさせてしまった。その晩俺がどうやって忍術学園に帰って来たのかも思い出せないが、返り血に染まった装束を脱がせこびり付いた血をぬるま湯で拭ってくれたのは同室の仙蔵だった。

その日を境に、俺は一人で居る空間が怖くて仕方なくなった。授業を受けている時、委員会の仕事をしている時はいつもの俺でいる事が出来る。しかし一人で長屋に帰って来ると、どうしても肉を断つ感覚や血の匂いが沸き上がって吐き気が止まらない。今日も既に二回吐いた。


夜が長い。気が遠くなりそうだ。仙蔵の枕元に突っ伏しながら俺は朝を待つ。元々あまり睡眠を取らない方だが、最近はめっきり寝付けない。何日も徹夜をして、気絶したように眠り込む、の繰り返しだ。伊作には身体に悪いと怒られ睡眠薬を渡されたが、まるで眠れる気配はない。白く月光に照らされた仙蔵の寝顔を見ていたら涙が出た。朝日が遠い。明日が遠い。ざわついた心で俺は今日も睡眠薬を貪る。


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もんじは結構一度折れたら再起出来なさそう。仙蔵は強かなイメージがあります。
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